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国内の日本語教育事情

■国内の日本語学習機関・施設等数、教師数、学習者数

現在、日本国内における機関・施設数、教師数、学習者数は以下の通りです。

 
機関・施設等数
教師数
学習者数
大学等機関
625 (30.5%)
5,878 (19.5%)
44,858 (33.2%)
一般の施設・団体
1,422 (69.5%)
24,206 (80.5%)
90,656 (66.8%)
合計
2,047
30,084 
135,514

平成7年の数字と比較すると、 機関・施設等数→1.7倍、教師数→1.8倍、学習者数→1.6倍 と10年間で増加の一途をたどっています。

■機関・施設等数について

まず、日本国内で日本語を学べる機関・施設にはどんなものがあるのかを見てみましょう。大きく分けて次の2つに分類され、各機関数と割合は以下のとおりです。

(1)大学等機関(大学院・大学・短期大学・高等専門学校)             625機関(全体の30.5%)
(2)一般の施設・団体(民間の日本語学校・国際交流協会など)       1422機関(全体の69.5%)

大学等の機関が全体の3割。圧倒的に、民間日本語学校や地域の国際交流協会、NPOなどの任意団体が行っている日本語教室が多いのです。

■学習者数および出身国・地域

冒頭の表にあるように、大学等機関で日本語を学ぶ学習者は全体の3割強、一般の施設・団体で学ぶ学習者は7割弱。では、学習者の出身国・地域はどうなっているのか見てみましょう。

1.アジア地域(東・東南アジア等)  104,441人(77.1%) 
2.北アメリカ地域               6,301人(4.6%) 
3.南アメリカ地域               5,011人(3.7%)
4.ヨーロッパ地域               4,852人(3.6%)
5.大洋州                    1,500人(1.1%)
6.その他                    13,409人(9.9%)

となっており、圧倒的にアジア地域出身の学習者が多くなっています。彼らの多くは、「就学生」や「研修生」として日本語学校などで学んでいるほか、「留学生」として大学や大学院等で学んでいる人もいまず。また、南アメリカ地域が3位に入っているのは、1990年初めから来日し始めた日系ブラジル人・日系ペルー人の学習者が増えているためだと考えられます。 さらに詳しく出身国別で見ると、

1.中国          59,752人
2.韓国          18,223人
3.アメリカ合衆国   4,828人
4.台湾           4,090人
5.フィリピン        3,875人
以下、ベトナム、ブラジル、タイ、インドネシア、スリランカ、英国が続いています。

ここで1点補足ですが、上記の調査の数字は、あくまでも調査対象となった機関・学習者に限った数字であるため、現在日本国内に居住する全外国人の現状を反映したものではないということなのです。

参考までに、平成19年末現在日本国内に居住する外国人は215万2973人で(登録分)、全人口に対する比率は1.69%(平成20年6月法務局入国管理局発表「平成19年末現在における外国人登録者統計について」)。国籍別上位5位は、(1)中国(28.2%)、(2)韓国・朝鮮(27.6%)、(3)ブラジル(14.7%)、(4)フィリピン(9.4%)、(5)ペルー(2.8%)、となっています。

ここからもわかるように、日本国内に居住する全外国人215万人と、調査対象になった14万人の実態は必ずしも一致していません。文化庁の調査は、国内の現状の一側面としてとらえるにはそれなりの意味がありますが、その数字に入ってこないけれども、他の何らかの形で日本語学習をしている多くの外国人がいるという状況も理解しておく必要があると思います。また、日本語学習を必要としていても、様々な条件が整わず学習できていない人たちもいます。

中でも特に注目されているのが、学齢期の外国籍児童生徒に対しての日本語教育です。たとえば、南米(ブラジル、ペルー)出身の子供たちは、両親が日本で働くために家族で来日し、当初は日本語が全くわからない子も多くいます。日本の公立学校に通っても、十分な日本語力が身についていないまま通常の授業を受けざるを得ず、結局は言葉の壁に阻まれることが少なくありません。

このような児童生徒が、今後少なくとも数年間、長い場合は何十年も日本で暮らすことが予想されるため、彼らに対する日本語教育をどうしていくかという大きな課題があります。日本語教師として活躍している方々の中には、このような児童生徒への日本語教育に力を注いでいる方も多くいらっしゃいます。

以上のように、国内の日本語教育と一口にいっても様々な状況があり、多様な関わり方ができるといえるでしょう(詳しくはこちら「国内での働き方」をご覧ください)。

■日本語学習者の属性

それでは、機関・施設数と学習者の関係はどうでしょうか?

(1) 大学等機関には大学院・大学・短期大学・高等専門学校が含まれ、ここで日本語を学ぶのはほとんどが「留学生」。「留学生ビザ」という在留資格を持ち、進学や研究のために日本語を学んでいます。文化庁調査の約14万人の日本語学習者のうち、44,858人がこの大学等機関で学んでいます。

(2) 一般の施設・団体には、民間の日本語学校・地方公共団体・国際交流協会・ボランティア日本語教室が含まれ、ここで学ぶ学習者の属性は実に多様。

まず、全体で見ると学習者は90,656人。内訳は、「留学生・就学生」 34,151人(37.7%)、「日本人の配偶者及びその家族」 8,220人(9.1%)、「技術研修生・技能実習生」 4,920人(2.4%)、「国際的ビジネス関係実務者」 3,514人(3.9%)、「中国帰国者及びその家族」 3,275人(3.6%)、「日系人及びその家族」 3,235人(3.6%)、「難民及びその家族」 885人(1.0%)、「その他・不明」 32,456人(35.8%)、となっています。

特徴としては、一番人数の多い「留学生・就学生」34,151人のうち約9割の30,319人が民間の日本語学校で学んでおり、それ以外の人たちは授業料が安い(または無料)、地域の国際交流協会主催の日本語教室などで学ぶ傾向があります。

■なんのために日本語を勉強するの?

大学等機関で日本語を学んでいる場合、その目的は学業(進学・研究等)がほとんどです。一方、一般の施設・団体の場合は、(1)生活目的 51%、(2)学業(進学、就学、研究等) 35%、(3)就業目的(就職、技能研修、技能実習等) 2%、(4)その他 12% となっています。

「生活目的」が約半分を占めていることから分かるように、一般の施設団体で学ぶ人たちは、まずは毎日の生活を送るための基礎的な日本語を身につけたいと考えています。裏返せば、基礎的な日本語力さえ習得できていない状態のまま、日常生活・社会生活を送っている人が多いということです。

■日本語教師数について

2005年11月現在、国内で日本語を教えている教師数は、30,084人。機関・施設等数、学習者数が増えたことに比例して、教師数も平成7年に比べて1.8倍に増えています。教えている機関と教師数は、大学等機関が、5,878人 (19.5%)、一般の施設・団体 24,206人 (80.5%)、 となっており、やはり圧倒的に民間の日本語学校や地域の国際交流団体などで教えている人が多いです。

また、職務別でみると、ボランティア→15,202人(50.5%)、非常勤・兼任講師が10,874人(36.2%)であり、専任講師はわずか4,008人(13.3%)です。専任講師になるには相当の経験年数が必要で、かなりの狭き門となっています。したがってほとんどの人はボランティアから始めて経験を積み、その後、有給の「仕事」として非常勤・兼任講師になるというパターンが多いといえます。

(※データはすべて平成17年現在。文化庁文化部国語課「平成17年度国内の日本語教育の概要」より」)