日本語教師 資格を取得しよう

国語辞典(1)

日本語教師の必需品と言えば辞書。どのような基準で、どのような辞書を選べば良いのでしょうか。
多くの人は、小学校から高校・大学まで、学校が選定した辞書や先生に薦められるがままに辞書を買っており、辞書の内容を吟味して購入したと言う人は少ないのではないでしょうか。ここでは、辞書を選ぶ基本的なポイントと代表的な辞書を紹介します。

■選ぶ基準は?

辞書の特徴を知ろう!

現在市販されている辞書は約20種類。店頭でどの辞書を選ぶか悩むところです。
辞書にはそれぞれ特徴があり、それは辞書の冒頭「編集方針」に書かれています。しかし、3ページほどに亘り書かれている編集方針を店頭で読み比べることは、他のお客様もいるので容易なことではありません。
そこで、次に挙げる3つのポイントを確認して辞書を選ぶことをお薦めします。

(1)規範性が強いか否か
(2)本来の意味(正用)と本来の意味とは違う意味(誤用・慣用)を載せているか
(3)新語を積極的に載せているか
(4)文法や運用など、語釈以外の項目を掲載しているか
(5)どのくらいの頻度で改訂しているか(時代の変化に応じたことばの変化が確認できる)

■比較調査

各辞書がどのように異なるか、簡単な比較調査をしました。調査した辞書は、主要な辞書の最新版です。調査した語は、「国語に関する調査」(平成24年/文化庁)において取り上げられたことばです。

(1)語の新しい使い方(意味)について

次の4つの語に関し、例にある言い方(もしくは同様の意味だが別の例文で掲載)に関する語釈が掲載されているかを調べました。これにより、各辞書がどの程度新しい言い方を掲載しているか分かります。

きんきん:きんきんに冷えたビール
さくさく:パソコンがさくさく動く
ざっくり:ざっくりとした説明
ほっこり:気持ちがほっこりする

辞書名
発行年
きんきん
さくさく
ざっくり
ほっこり
岩波国語辞典
第8版(2019年)
×
〇(俗)
×
×
旺文社国語辞典
第11版('13年)
×
×
俗(〇)
×
現代日本語例解辞典
第6版('13年)
×
×
×
×
広辞苑
第6版('08年)
×
×
×
講談社国語辞典
第3版('13年)
×
×
×
×
三省堂国語辞典
第7版('14年)
新明解国語辞典
第8版(2020年)
×
×
×
×
大辞泉
第2版('01年)
×
×
×
×
大辞林
第3版('06年)
×
×
日本語大辞典
第2版('00年)
×
×
×
×
日本国語大辞典
第2版('00年)
×
×
×
×
明鏡国語辞典
第2版('11年)
〇(俗)
〇(俗)

※記号について
〇:掲載あり
×:掲載なし
俗:俗語として辞書に掲載されいる

(2)誤用について

「役不足」「流れに掉さす」「気が置けない」「噴飯もの」に関し、誤用について記載しているか調べた結果です。

辞書名
発行年
役不足
流れに掉さす
気が置けない
噴飯もの
岩波国語辞典
第7版('13年)
旺文社国語辞典
第11版('13年)
現代日本語例解辞典
第6版('13年)
広辞苑
第6版('08年)
講談社国語辞典
第3版('13年)
三省堂国語辞典
第7版('14年)
新明解国語辞典
第7版('12年)
大辞泉
第2版('01年)
大辞林
第3版('06年)
日本語大辞典
第2版('00年)
日本国語大辞典
第2版('00年)
明鏡国語辞典
第2版('11年)

※記号について
◎:は誤用についての説明があるもの
〇:正用のみ掲載しているもの
△:項目立てしていない (「気が置ける」の語釈の中に説明あり)
×:語自体を掲載していないことを表す。

次のページでは、実際にオススメの辞書を紹介します。

トップページ  次のページ